承前
2014年4月、清明節で台湾に行った際、通称「ひまわり学生運動」と呼ばれる学生を中心とする人々による立法院(日本の国会に近い存在)占拠運動が展開していた。3月後半から始まった運動も1ヶ月を過ぎ、そろそろ妥結する可能性があると考え、撮影のため立法院に出かけていった。
日本の場合だと、このような場合、機動隊が周囲を固め、市民や外国人が出入りすることを阻止する。でも、地元テレビのニュースを見る限り、出入り自由なようなので、カメラを持ち、足を運んだのである。その日はちょうど国務院議員・議長の仲介により話し合いが行われていたため、議事堂内には入らなかったが、人々の学生たちの支援を実感した(ちなみに警官隊は議事堂の裏手に陣取り、警戒に当たっていた)。
その際、2年後の総統選挙へ向かう台湾民主主義のあり方を感受しようと思った。その後、2014年11月の地方選挙、2015年7月の教科書問題をめぐる高校生の教育庁占拠なども撮影した。それらは台湾撮影の一環だったが、今回の取材は総統選・国務院議員選挙だけをテーマに、公示後の2016年1月12日から、確定後の20日まで、国民党支持者の多い台北周辺に撮影地を絞り込んだ(南部の方が民進党支持者が圧倒的に多く、撮影しやすいので逆に撮影しにくい場所を選んだ)。
別に騒動を期待していたわけではなく、緊張感のある選挙運動を期待したものだった。
next