2016年6月発行
2016年1月 台湾総統・立法院選挙観戦記
文章・写真 伊東重明 mail:info@ito-is.jp
2015年、国会を囲む抗議する市井の人々の姿と、それらの声を圧殺するように幾重にも重なった警備陣を見ながら、日本国政府は結局、人民を従わすことでしか存立できないのか、という思いがわいてきた。それは、たとえば沖縄の辺野古で24時間、監視活動をする基地建設阻止の市井の人々に対する権力や沖縄人軍属、警備会社青年の多重の警備体制を撮影する中でも思った思いでもある。その強圧的日本国家システムを結果的につくりあげたのは、還暦を過ぎた私たちの世代であることは事実だ。所詮、保守政治は変わらない、各自の現場で権利・主張を行い続ければ、そのうち、少しずつ社会は変わっていく、という思いだけが数少ない自足だった。
でも、今や確実に日本は「強圧」イズムに向かっている。
逆に国家の「強圧」イズムから膨大な犠牲を払いながら、長い時間をかけ健全な民主主義を実現したのが台湾である。その象徴が今回の総統・立法院選挙だと思い、選挙期間中とその後の1月12日から20日まで台湾で撮影をした。本当は2014年からの一連の流れの中で写真、文章を構成するつもりだったが、今年夏の参院選への何らかの参照データになれば、と思い、写真を中心に掲載することにしたのだ。